5月でもう30℃

「全国7割で夏日 東北でも30℃以上 あすはムシムシ」

そんな見出しの天気予報記事を目にする今日この頃。まだ5月であるにも関わらず夏日だそうです。外を出歩いていても、半袖や日傘を見かけることが一気に多くなったと実感します。

私自身も駅まで歩くほんの10分で、駅に着くころには少し汗ばむ暑さ。こんなに暑かったっけ?と思わされます。朝は20℃ないくらいなのですが。

地球温暖化で大変なことになるから、エコにいこう!なんて叫ばれて久しいですね。身の回りを少し見渡しただけで、あらゆるところにエコを謳う製品やマークを見ることが出来ます。

省エネ家電、土に還る包装、紙ストロー、新築住宅の上に敷き詰められたソーラーパネルなどなど。

電気に関するものだと”環境に配慮”しているだけでなく日々の電気代が減ることでおサイフにもやさしいので、すごくいい気分になりますよね。

私自身もエアコンの設定温度を少し変えてみたり、アイドリングストップを意識しています。意識しだしてからは、周りの動向なんかも気になるようになり、逆にがんがんアイドリングしている人を見るともったいないなあなんて思うようになりました。

温暖化と気候変動

ここまで温暖化が進んでしまったのは、一般的には温室効果ガスが原因と言われていますよね。特に二酸化炭素の排出量が産業革命以降に爆発的に増えていることは有名です。

私が小学生の頃にも、学校では環境問題に対する教育があったことを覚えています。化石燃料をこのままのペースで使い続けるとあと60年くらいで使い切ってしまう、なんて言われたら小学生からしたら恐怖でした。

小さい時に出来ることと言えば、冷蔵庫をすぐ占めるとか、歯磨きの時でも水の出しっぱなしとか、その程度のレベルだったかと思います。

ただそういう習慣って大人になっても残るものですね。買い物から帰ってきて食材を冷蔵庫にしまうときでも、「何度も開けることのないように、しまうものをカテゴライズしてから…」なんて考えてしまいます。

グリーンなことをしているという自己満足

少し脱線しましたが、温室効果ガスの削減が叫ばれているのと同時に、気候変動も目に見えて増えてきました。日本でも毎年のように豪雨被害がありますし、世界に目を向けてみると山火事や干ばつといった自然災害が多発しています。

環境問題に取り組まないと、という危機感や使命感のような思いがある反面、スケールが多き過ぎて自分一人が頑張っても…と思ってしまうこともあります。

それでも、何か地球にやさしいことをしようという思いはあるわけで、エアコンの設定温度を調節したりしていたわけです。

エコバッグもそのうちの一つですよね。マイクロプラスチック問題もあり日本でも持ち帰り用ビニール袋が有料になりました。今では色柄様々で”おしゃれ”なエコバッグが普及していますよね。

「プラスチックや原油の消費量を抜本的に抑えるなら、もっと別の部分にメスを入れる必要があるだろう」と思ってしまうのはさておき、少しでも抑えられるならこれもいい施策なのかな、なんて考えていました。

それも、たまたま出会った書籍、人新世の「資本論」を読んだことで、まったくの自己満足でしかなくむしろ資本主義の養分になっていたのだと気づかれました。

書籍:『人新世の「資本論」』で衝撃

著書について

こちらの書籍について簡単にご紹介します。

著者は斎藤幸平(さいとう こうへい)さん。1987年生まれのまだまだお若い方でありながらベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了され、経済思想を専門とされています。

「資本論」を書いたことで有名なマルクスの考え方を紐解きながら、時代背景やテクノロジーの変化を踏まえた人新世(つまり現代)バージョンへ焼き直します。

そのうえで、この資本主義がどのように地球を破壊していくのか、SDGsという言葉に踊らされて環境破壊がどのように加速していくのかについて、危機感をあらわに書き記されています。

文章一つ一つから著者の危機感や「今動かないといよいよ手遅れになる」という思いが見て取れ、面白くて読む手が止まりませんでした。

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結局、マーケットにされる矛盾

環境問題に取り組もうという風潮とか、そのために技術革新を加速させることについては、個人的に大歓迎ですしどんどんやるべきだと感じます。

一方で、この書籍を読むまで気づけなかったことがあります。それは「資本主義が前提の社会で物事が動いている」「希少性を作り出すことこそが資本主義の本質」という視点です。

環境にいい服、装置、食べ物。それら単品で見た時には地球環境を守るという意味でとても魅力的です。少し値段が張ったとしても環境にいいならこっちを買おうかな、と思わせられることもあります。

しかし、資本主義社会の上では、作り手は利益を継続的に出すことが最大の目的。そうであればエコを感じられる製品を大量に作ってもっと売ろうと考えるのは自然ですし、もっと言えば「環境にいい」というプロモーションをかけることが出来る製品であればいいわけなんですよね。

その結果として、単品で見た時には従来品と比べてエコロジーなものだとしても、生産する絶対量が増える。トータルで見るとエコロジーどころか環境破壊を加速させている、と。

エコバッグで環境破壊

エコバッグを持ち歩くことが一般的になってきましたが、このエコバッグすらも環境破壊に寄与しているのだと気づかれました。

1枚買えばしばらく使えるのはその通りですが、ニーズの高まりに合わせて企業側が大量生産をすることが問題です。おしゃれなデザインや機能面の拡充、そうして1枚あれば事足りるエコバッグも、気づいたらファッション化。

1枚あたりの生産コストや環境負荷はビニール袋の方がはるかに少ないでしょう。本当に環境保全を考えるなら、おしゃれなエコバッグをそろえるよりもビニール袋を使いまわした方が絶対に効果的だと思われますが、こういうところにも資本主義の闇があるのかもしれませんね。

ひとりが変われば

正直、資本主義である以上は環境を破壊し続けると聞かされると、個人レベルで取り組めることは何もないような気がしてしまいました。

しかしながら本書の面白いところは個人でも取り組める「革命」が提案されているというところです。

詳細についてはぜひ読んでいただきたいのですが、私個人としては「働きすぎない」を取り入れていきます。

企業活動は社員一人ひとりの活動量がもととなっているわけですから、環境保全を目的とした企業活動の抑制のために、ぜひ多くの人にも動いてほしいと感じました。

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