リスキリングに乗り遅れる

2023年、令和5年を迎えあっという間に1ヵ月が経過してしまいました。カナダに来てからというもの、ウイスキーのあまりの高さに驚き、晩酌のほとんどはビールになりがちな今日この頃です。

カナダにいるのだからニュースや最新のトピックスはなるべくカナダのものを取り入れるようにしようと決め、日本に関する最新の情報は為替と株式のニュースくらいでした。昨年末の日銀の金融政策決定会合ではYYCの変動幅の許容範囲を広げるというサプライズがあり、私個人としてもかなり焦ったものです。それがもう2か月も前と考えると、本当に時間が経つのが早く感じられるようになりました。まだ30歳代なのに。

今日の一杯『WILY WOLVERINE STRONG LAGER 8.0 %』

パッケージのインパクトで購入。
カナダにはこういう謎パッケージが多いです。

さて今回もカナダビールを飲みます。リカーショップでパッケージ買い。強烈なインパクトです。それとカナダのリカーショップに行くとすぐ気づくと思うのですが、5%の普通のビールよりもアルコール度数が高いビールの方が安いんですよね。今回のWILY WOLVERINE STRONG LAGERも8%のビールで、6本セットが$9程度。5%のビールが1本あたり$2程度するのに比べて、20%から30%程度安くなっています。不思議。

製造元はBalderdash Brewing社で、カナダのブリティッシュコロンビア州の本社を持つ小規模のブリュワリー。家族で営まれているようで、販売先はブリティッシュコロンビア州とアルバータ州のみのようです。意外と貴重だった!

さて肝心の味ですが、やはり8%というだけあってアルコール感はがつんときます。ラガービールというだけあって、それでもすっきり飲みやすい味わいです。ホップの苦味がアルコール感をマスクしてくれているような印象。割と空きっ腹の状態で飲み始めてしまったので、1本でかなりいい気分です笑。

寒い日の食卓に、餃子や中華料理のような味の濃い食事と一緒に飲むのも面白そうです。

考え方自体は前向きで好印象

さて日本の情報については浦島太郎状態でしたので、日本では2022年の流行語として「リスキリング」がノミネートされていたということを2023年に入ってから知りました。検索してみると、リカレントやスキルアップと何が違うの?という記事が溢れており、多くの方が定義の違いで混乱されているようですね。かくいう私も、初めて聞いたときはスキルアップと混同していました。

リスキリングという名前や定義はさておき、考え方自体には非常に好印象を覚えます。各メディアでは識者と言われる方々が、日本には成長産業がないために経済成長が果たせていないと叫ばれておりますよね。マクロな視点では本当にその通りだと感じます。ただ規模が大きすぎて個人レベルでどうしたらいいの?と思ってしまうのも事実。

国のために成長産業を作るぞ!と熱くなる方も個人的には応援したいですが、それよりも日々の生活の豊かさや働きやすさの方が気になるところです。笑

そんな折に国のトップからリスキリングという名で「個人レベルでもこうやって頑張ったらいいんだよ」と提示されたわけですから、これはチャンスと前向きにとらえるべきでしょう。

資格さえあればマインド

「リスキリングが重要なら、今年こそはこの資格取得目指して頑張るぞ!」という新年の抱負をされた方、ものすごく多いのではないでしょうか。心理学的にも新年の抱負は自己啓発を果たすうえでかなり効果的のようですね。

資格それ自体は、ある程度の知識量があることや努力が出来ることの証明になります。そもそも資格がないとできない仕事もありますし、資格さえあれば働けると結び付けて考えてしまいたくなる気持ちもわかります。

ただ何というか、この資格取ったからすごいみたいな空気が、自己啓発そのものを台無しにしてしまっているような気もします。目的が手段になってしまっている典型例というか。

実務では結局ググる

代表的なものはファイナンシャルプランニング技能士、いわゆるFP資格でしょう。私個人も緊急事態宣言下に家で腐っているのももったいないな…ということで取得しました。こんな控除があるのかとか、相続するときは意外と面倒なんだなとか、生きているうちにめったに遭遇しないケースに関連したお役立ち情報を手広く仕入れるという意味ではものすごく有意義でした。

取得してから約2年、そのお役立ち情報はすっかり忘れております。全く使っていない知識なので当然ですよね。資格を取得したところでその知識を生かさないのであれば、実力レベルは資格を持っていない人と変わらないですよね。

お金がらみの問題が発生したときは、そのFPとしての知識を生かすよりも結局検索して調べたほうが早く正確で実用的というのが現実。

資格取得が目的化する連鎖の始まり

面白いのが、一度資格取得に成功するとその達成感が気持ちよく、「次はこの資格取ってみようかな」とますます資格が目的化してしまうことです。気づけば持っている資格の数こそが自分の有能さの証明かのような錯覚を覚える連鎖の始まりです。

重ね重ね言えば、資格それ自体が悪者というわけではなく、資格の活かし方、取得に対する考え方を見直すべきということです。知的好奇心をくすぐって、もっと深く知りたいと思う気持ちは素晴らしいと思います。ただこの資格取得が目的化した連鎖に入ってしまうと、リスキリングの目的であるところの変化に適応し続けられる人材となるというゴールには近づけないのではないでしょうか。

「資格 おすすめ」は効果薄い

それでもやっぱり何かを始めるにあたっては資格からスタートしたいと思ってしまうのが人間としての性でしょうか。笑 昨今ではひろゆき氏の「とりあえず資格を取れるだけ取っておけばくいっばぐれることはない」が日本中を駆け巡っております。まあ取れるだけ取れたら何かしら生業につながることもあるんでしょう。無いよりはあった方がいいというのはその通り。

だからと言って「資格 おすすめ」で検索しているようでは資格ビジネスの思うつぼでしかないです。この検索ワードで引っかかるページには、今すぐにでもこの資格取らなきゃ!と思わせるような耳ざわりの言い解説しか載っていませんしね。私自身、FPを取得したのもここを通ったからで、振り返ってみるとあまり意味がなかったなと気づくことになりました。

「まずは資格」から抜け出すには

感染症拡大の影響もあってデジタルトランスフォーメーションが大事だ、なんて叫ばれて久しいですね。何でもかんでもデジタルトランスフォーメーションとつけすぎているような気がして、最近ではDXと聞くと逆に安っぽく感じてしまうようにもなりました。

この流れの中でITパスポート資格を取得しましょうという流れもよく聞きます。会社の中でも、URLって何?と聞いてくるような世代の方がいたこともあり、そういう人にとっては非常に意味のある資格(取得のための勉強)かもしれないですね。

話がまた個別具体にそれてしまいました。何でもかんでも資格からスタートするのはかえって遠回りになるような気もしています。

じゃあどうしろと。自己成長、自己啓発においてはなかなか正解がありませんが、まずは自分のことを知ることが大事だと思っています。自分がどういうことにやりがいを感じ、どういう未来を歩んでいきたいのか。そこさえぶれていなければ、そもそも答えが資格にないということに気づく可能性も広がります。

そもそも、いわゆる自己分析って、就職活動の時にやって以来一度もやり直していないという方も多いのではないでしょうか。就職活動をしている学生の時に比べて、何ができるようになったのか。自分のスキルを棚卸することの意義は大きいと考えています。

とりとめもない話になってしまいましたが、私個人としてもカナダへ留学に来た際に改めて自己分析をしてみました。やっぱり自分が目指している方向は海外生活で大きく変わってきていることを実感しています。

もしずっと日本にいたままであれば、それこそリスキリング=資格という波に乗り遅れないように必死になっていたような気も致します。

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